春が訪れ、少しずつ温かくなるこの時期、私は訪問看護師として働き始めてからもうすぐ2年になります。
病院での看取り経験は何度もありましたが、在宅での看取りを初めて経験し、心打たれる思いがしました。
この体験は、新しい利用者様との出会いを楽しみにしていた矢先の出来事でした。
ある日私が訪問した頃には、利用者様はすでにこの世を去られていました。
先に到着していたスタッフとともに、ご家族が故人の身体を丁寧に拭いているところでした。家中が暖かさに包まれ、最期の時を皆が満足できるよう、時間がゆっくり流れている感覚になりました。通常、「別れ」とは寂しさや悲しみを伴いますが、なぜか穏やかな空気に包まれ、温もりで溢れていました。
これは、在宅での看取りだからこそできた特別な経験です。病院での看取りでは、あわただしくお互いの思いを十分に伝えられないことがあります。
私たちが愛する人と共に過ごす時間は貴重です。その大切な最期の時を、住み慣れたご自宅で、家族に囲まれながら迎えることは、非常に意味のある選択となります。在宅看取りは、愛する人々と共に静かで穏やかな最期を過ごすことを可能にします。
皆様にとって、住み慣れたご自宅で大切な人に囲まれながら、人生の幕を下ろすことを、選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか?
吉塚 容子